それはきっと、君に恋をする奇跡。
「んなのいいのに」
今にも返されそうに、あたしと蒼の間に宙ぶらりんになるピアス。
受け取るのを躊躇うみたいに。
……返されたって困るんだから、素直に受け取ってよ。
「いいの!あたしの気持ちだからっ!」
言って、胸がドクンッと波打った。
あたしの気持ちって、なに……?
感謝の気持ち……?
それとも……好き……なの?
言った張本人が曖昧だなんて。
「ん、ありがとな」
蒼は優しく微笑むと、そのピアスを手の中に収めた。
やっと渡せた。
やっと蒼に渡った。
ビタミンカラーのピアスが。
それだけで、少し心が軽くなった。