それはきっと、君に恋をする奇跡。
*第1章*
春風の中で
ふわり。
真新しい胸元の赤いリボンが、暖かな風に優しく揺れる───春。
「同じクラスになれるかなあ……」
今日は高校の入学式。
あたし、新田陽菜(ニッタ ヒナ)はさっきから同じ言葉ばかりを繰り返していた。
「もー、陽菜ってばそれ何回目ー!?」
一緒に学校へ向かっている、親友の安藤真由(アンドウ マユ)ちゃんに呆れられるほど。
「だって気になるんだもん……」
頭上には桜のアーチ。
入学式に合わせたかのように満開に咲き誇っていてとってもキレイ。
駅を出たところから学校までの一本道、ずっと桜並木が続いているんだ。
これは、これから3年間通う"桜園(サクラゾノ)高校"という名前の由来にもなっているみたい。