それはきっと、君に恋をする奇跡。


それからまた数日たって。


今は数学の時間で応用問題を解いているんだけど、難しくて分からない。


蒼を見ると、サラサラと左手を動かしてた。


……教えてもらおうかな。



「ねえ……蒼……」


「……っ!」



ビクッ。


声を掛けると蒼の肩があがった。



「……え?」



大げさすぎる反応に、あたしが驚いてしまう。



「な、何…?」


「あ、あの、これ、わからないから教えてほしくて……」



恐る恐る教科書を差し出すと、



「ああ、どこ?」



いつもの緩んだ表情になった。



最近、蒼はあたしが話しかけると一瞬警戒するんだ。
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