それはきっと、君に恋をする奇跡。
HRが終わり、もう帰るだけになったとき。
あたしは蒼に思いきって聞いた。
「ねえ蒼。あのピアス、気に入らなかった?」
夏休み中ずっとモヤモヤするくらいなら、傷ついてもちゃんと聞いておきたかったんだ。
蒼は明るく切り出したあたしを少し困ったように見て。
「んなことないっ……」
首を横に振って力強く言った。
「じゃあ……」
欲が出ちゃう。
つけて欲しいなって……。
それを言葉にしようとしたとき。
「絶対つけるからっ……つけたいしっ……」
「……?」
蒼が放ったその勢いに、あたしがきょとんとする。
つけたいなら……つけてくれればいいのに。
そんなに難しいこと……?