それはきっと、君に恋をする奇跡。


どうして?


新入生の名前が載ってないわけないのに。


なんでハルくんの名前がないの……?


まさか。


受験しなかったとか……!!



「っ……」



一瞬、目の前が真っ暗になって。



「陽菜大丈夫っ!?」



体がガクンッと右側に傾いて、真由ちゃんに支えらる。



……そんなことあるわけない……。


思いつくすべてを頭のなかで打消しながら、そのまま真由ちゃんの手を借りて教室を目指した。



新入生のフロアはざわざわとうるさかった。


はじめての校舎。


はじめての教室。


はじめてのクラスメイト。


これから始まる新しい日々に、期待でいっぱいのはずなのに。


それに、真由ちゃんとも同じクラスだったのに。



「ここが陽菜の席だよ……大丈夫?座れる?」



なにも考えられないまま、真由ちゃんに誘導されて自分の席につく。



「見落としってこともあるかもしれないし。後でもう一回見に行こう?」
< 21 / 392 >

この作品をシェア

pagetop