それはきっと、君に恋をする奇跡。
あーもう。
うるさいなあ。
「新学期の支度は出来てるの?課題はちゃんと終わらせたの?」
「もう終わりましたー」
そう得意げに言えば。
「花の女子高生が家でゴロゴロなんてさみしいわね。彼氏とデートとかないの?」
「お、お母さんっ!?」
課題をちゃんとやったのを褒めもせず、そんなこと言うなんて!
……花の女子高生がみんな彼氏がいると思ったら大間違いだし。
このままここに居たら、小言祭りになりそうだな……。
お母さんから避難するために、小さなバッグにお財布とスマホを入れていそいそと家を出る。
「あ、そうだ」
そのときあたしはあることを思いついて、庭から自転車を持ってきた。
一回やってみたいことがあったんだよね。
学校まで自転車で行ったらどのくらいかかるのか。
電車で15分かかるから、ちょっと距離はあるけどせっかく暇なんだしチャレンジしてみることにした。