それはきっと、君に恋をする奇跡。


……関係が、気になる。



きっと菜々さんが、蒼の大切にしたい人なんだ。


……知りたくなかった。


実際に目にしてしまえば、前向きに、気長に……なんて決意も鈍ってしまう。


だって、あんな素敵な人には勝てっこないもん。




蒼の香りだけがここに残ってる。


それが余計に切なくさせる。



「……蒼……」



夏の終わりに芽生えた小さな胸の痛み。


それは、この暑さと共に溶けてはくれなかった───

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