それはきっと、君に恋をする奇跡。


結城くんの肩を抱き、ニヤニヤする蒼はあまり日焼けしてない気がする。


街で会ったときは分からなかったけど、この中にいるとその白さが目立つ。


蒼こそ菜々さんとリア充だったんじゃないの……?



「はよっ!」



結城くんをからかい終えた蒼が、自分の席につく。



「お、おはよっ……」



どことなくぎこちない挨拶。


視線が合わせられない。


あー、もう。


最初が肝心なのに……。


あたしってば意識しまくりだよっ。



「熱中症になんなかったか?」



ヘラッと笑って言うそのネタは、きっと3日前のことで。



「なってないしっ」



なんとなく菜々さんの笑顔が脳裏に浮かんで、目を向けたのは左耳のピアス。

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