それはきっと、君に恋をする奇跡。
真由ちゃんは始業式の今日から部活。
大変だぁなんて言いながらも、久保先輩と一緒にいれる部活だもん。
全然苦じゃないんだろうな。
HRが終わり、トイレに寄ったあと鞄を取るために教室に入ろうとすると。
「見て見て蒼!あたしピアス開けたんだ」
そんな声が聞こえて来て足が止まった。
……ピアス。
今はその単語には敏感。
ドア越しにそっと教室を覗くと、蒼にそう報告していたのは、1学期に蒼のピアスを綺麗だと言っていた藤野さんだった。
長い髪を耳に掛けて、ピアスを見せている。
「あー、ほんとだ」
教室には、藤野さんの他に女子がふたりと蒼。
あたしの席も占領されている。
……これじゃあ鞄取りに行きにくいな。
しかも、内容が内容だけに入りずらくてドアの前で立ち往生。