それはきっと、君に恋をする奇跡。


やだ。


やだよ、聞きたくない。


そんな本能に反して、ちゃんと聞けと体が訴えているかのように、足が動かない。


今すぐここから逃げたいくせに……

引き寄せられるように、蒼の口元を見つめていると……




「まあな」



……っ!



「ひゃあ~」



蒼の答えに、さらに湧く女の子たち。



……そう、なんだ……。


そのピアス、大切な人からもらったんだ。


ということは、菜々さんから……?



菜々さんと話していた時の蒼を思い出す。


柔らかな視線で、菜々さんを追いかけて行った蒼を。



ズキンッ……。



大事な人からもらったピアスを外せずにずっとつけてるくらい、蒼の気持ちは強いんだ。


あたしのピアスを、義理でもつけられないほど……。
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