それはきっと、君に恋をする奇跡。


『絶対つけるからっ……つけたいしっ……』



そう言ったくせに。


ウソばっかり。


それが蒼の優しさだとしても。


ウソだとバレるくらいなら、そんな優しさなんていらなかった。



『これ以外はつけられないんだ』



ちゃんと本音を伝えてくれた方が良かったのに……。


蒼には、ウソをついて欲しくなかったのに。




「うぅっ……」



真由ちゃん。


そんなに物事は都合よくいかなかったよ。


ツラい思いをしたんだから、次の恋はきっとうまくいく。


神様は平等に幸せを与えてくれるはずだと真由ちゃんは言っていたけど。


神様は、あたしの味方なんてしてくれないみたいだよ……。



突っ立ったままのあたしの頬を、冷たい雫が流れていく。


ポロポロポロポロ、次から次へと。



そんなに蒼の気持ちが強かったら、振り向いてもらえるように努力する目標も探せない。



……もう、がんばれないじゃん……。
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