それはきっと、君に恋をする奇跡。



「はぁ……っ、はぁっ……」



屋上に駆け込んで、フェンスをギュッと掴んだ。


陽に照らされたフェンスは火傷しそうに熱かった。



胸が痛い。


張り裂けそうに痛いよ……。



このまま蒼への想いも熱で溶けてしまえばいいのに。


そうしたら、楽になれるでしょ?


そう願いながら、熱いフェンスを力強く握りしめていると、



「陽菜!」



ビクッ……!!


蒼の声がして、肩が震えた。



なんで……?


なんで追いかけてきたの?



まるで体育館裏で泣いていた時のデジャブ。


まさか今日も追いかけてくるとは思わず、フェンスを握る手にさらに力が入った。



「なんで泣いてんだよっ!」



背中に掛けられた言葉は決して優しいモノじゃなくて。


それが、またあたしの心をギュッと締め付ける。
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