それはきっと、君に恋をする奇跡。
「フフフ~ン、フフフ、フフフ~ン……♪」
……。
さっきからうるさかった声が止んだと思ったら、鼻歌が聞こえてきた。
これ、どこかで聞いた様な……。
思わずムクッと頭をあげると。
「あ、反応した」
なんて、目を輝かせた顔がそこにあって。
「……」
今朝、桜並木で。
あたしの鼻歌を笑った彼が、隣の席に座っていた。
え。なんでこの人が隣にいるの……?
我が物顔でその席に座っているのを見ると、どうやら自分の席みたいだけど。
……っ。
真由ちゃんの言った通り、ほんとに新入生だったの……?
しかも同じクラスで隣の席……?
……うそでしょ。
会いたいと願ったハルくんに会えなくて、会いたくないと願った人とこんな偶然が起きるなんて。
神様なんて、いないのかもしれない。
「やっぱり鼻歌ちゃんだったんだー。同じクラスなんて驚いた。これって運命かもなっ!」