それはきっと、君に恋をする奇跡。


「なんでっ……なんで蒼は優しいのっ……」



ズルいよ。



『陽菜が笑うならいつでも付き合うからな!』

『陽菜のビタミンになってやる』

『熱中症になったら困るだろ』

『笑ってた方が、ホラ、結構カワイイ』



好きな人が……大切にしたい人がいるくせに。



「中途半端に優しくなんてしないでっ……!」



つらくなるだけなのに。



「……陽菜、泣くなって……」


「泣くあたしが嫌なら、もう突き放してくれればいいからっ……うっ……」


「んなことできねーよ!」


「……っ、どうしてっ……その優しさが……ツラいのっ……!」



頑張ってたのに、まだ涙が零れた。


ポタッ……と、熱く焼けたコンクリートの上に涙のシミが出来る。
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