それはきっと、君に恋をする奇跡。


化学室で聞いた告白では、女の子に誠実な態度を取ってた。


すごく男らしくて真面目な人なんだって思った。



……あれは幻だった?


それとも、告白させたくないほど迷惑だった?




……あたしのせいだよね。



『中途半端に優しくなんてしないでっ……』



あんなに親身になってくれた蒼を突き放すような言葉を投げかけちゃったんだから、自業自得なのかもしれない。

そんな人からの告白なんて、聞きたくないよね……。



「……っ」



ジワリ。

涙が溢れる。



どうして、あたしはツラい恋しか出来ないんだろう。


ポケットに忍ばせたガムの包み紙を開いては、切なくなる。


あたしに笑いかけるニコちゃんマークが、蒼の笑顔と重なってあたしにパワーをくれていたのに。


包みの中の笑顔さえ、いまは偽物に思えてきた。



あたしはただ、蒼と……

笑っていられたらそれだけで良かったのに……。
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