それはきっと、君に恋をする奇跡。
***
「大変大変っ!」
それから数日たって。
体育の授業の後、更衣室での着替えをすませて教室に戻ると、そう言いながら一人の女の子が教室に飛び込んできた。
ひどい慌てっぷり。
どうしたんだろう?
「蒼が体育で怪我したみたいっ!」
「えっ!?ほんとに?」
「もしかしたら骨折かもしれないって」
「えーーーー!!!!」
悲痛な叫びと共に、教室内は蜂の巣をつついた騒ぎになる。
……骨折?
そんなにひどい怪我なの?
蒼のことなんてもう気にしないと思ったくせに。
居てもたってもいられないくらい心配になった。