それはきっと、君に恋をする奇跡。
……あなたとの運命なんて感じたくありません。
相変わらず軽く放つ彼の言葉に相槌すら打てず、少し冷めた目で見ていると。
「あれー?そこスルーしちゃう?まあいいや、俺、水瀬蒼(ミナセ アオ)。よろしくなっ!」
しかも鼻歌ちゃん……て。
そんなあだ名が定着したら困ると思いつつも、言い返す気力もなくて小さく頭だけを下げた。
「なんか暗くない?朝のテンションどこ行ったの?」
「……」
答えたくない。
ていうか、答える筋合いなんてないもん。
「あー、わかった!学校来るまでに今日のテンション使い切っちゃったってヤツ?」
「……」
「入学式が楽しみすぎて、昨日は眠れなかったんだろ。で、張り切って登校して、どっと疲れたパターン?入学式あるあるで使えそうだなー」
……うるさい人。
さっきと変わらずよく喋るね。
「そこうるさいぞー」
あたしの気持ちを代弁してくれたのは、タイミングよく入ってきた担任だった。