それはきっと、君に恋をする奇跡。
昨日の深刻な様子から一転。
湿布のときよりも、包帯姿の今の方がまるで軽傷のような扱いを受けている。
「はははっ、単にカルシウム不足!」
深刻にならないのは、そんな風に明るい蒼のキャラクターゆえだろう。
早速、誰かがカラフルなペンを持ってきて、包帯に寄せ書き大会が始まる。
やめろよー、なんて言いながらも楽しそうな蒼。
こんな非常事態までも笑いに変えてしまう蒼。
それは、蒼にとっていいことなの……?
心の中を隠すためには好都合だから……?
あたしは屋上での蒼が……。
あたしを見つめる、あの苦しそうな目が……忘れられない……。
左利きの蒼が、左手の自由を奪われてどうするのかと思ったら。
右手でシャーペンを握っていたから驚いた。