それはきっと、君に恋をする奇跡。
屋上
それから数日後のお昼休み。
「今日さ、久保先輩とお昼食べることになっちゃったの……」
ハッピーな約束なはずなのに、眉根を下げてそう言ってくる真由ちゃん。
「なんでいつもそんなに申し訳なさそうなの?もっと嬉しそうに言わなきゃ」
あたしは笑った。
ふたりが付き合い始めてからたまにこんな日があるけど、決まって真由ちゃんはいつも申し訳なさそうに言ってくるから。
「だってぇー」
「あたしがひとりになるとか気を使ってくれてるみたいだけど、あたしだって屋上でお弁当が食べられて結構楽しいんだよね」
季節の風を感じたり。
眺めがいいから普段は目にできない、景色も見れるもん。
べつに強がりでもなんでもなく言うと。
「もー。言ってくれるじゃーん」
肩を叩かれ、そして『あはは』とふたりで笑い合う。