それはきっと、君に恋をする奇跡。


『もし蒼になにか困ったことが起きたら、そのときはあたしが蒼の力になるからね』



あのときの言葉に一点の曇りもない。


しばらく会話のなかったあたし達だけど、こうやってあたしに助けを求めてくれたことがうれしかった。


人に弱さを見せない蒼が、こうやってあたしを頼ってくれたことが。



「ごめっ……」


「大丈夫、だから……」



もし今、蒼が何かに悩んで助けを必要としているなら、あたしは全力で蒼を守るよ。


力になれるかは分からないけど……。


あたしが蒼の体に手を回すと、蒼は安心したように力を緩めて。

腕の中で、目を瞑りながら小さく呼吸を吐く。
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