それはきっと、君に恋をする奇跡。
それから、体育館へ移動して入学式が始まった。
校長先生の祝辞も、新入生代表の挨拶も、なに一つ耳に入ってこない。
ハルくん……ほんとうにこの学校にいないの?
真由ちゃんにはああ言ったけど、心の隅ではまだ期待を捨てられなかった。
見落とし、っていう希望。
どこかにいると信じたくて、整列した新入生を食い入るように目で追う。
あれから4年。
探したって分からないくらいに、外見は変化してるかもしれない。
それでも、あたしはハルくんの面影を必死で探した。
凛々しくて太い眉。
キリッとした切れ長の目。
意志の強そうな口元。
それだけを頼りに、入学式が終わったあとも全クラスを回ってハルくんを探した。
だけど。
どれだけ探しても、やっぱりハルくんは見つからなかった。