それはきっと、君に恋をする奇跡。
大切にしたい人
次の日、蒼は学校を休み。
翌々日登校してきた蒼は、いつもと変わらない笑顔を振りまいていた。
抱えている悩みやツラさなんて、周囲にはまったく見せずに。
久保先輩から聞いた話なんて、まるで嘘のように。
そんな事実を抱えているなんて、夢にも思わないように。
笑って、ふざけて。
秋の長雨が続く今日だって、蒼がいればまるで太陽が照っているみたいに明るくなる。
雨で憂鬱な気分なんて一気に吹き飛ばしてしまう。
それを見るあたしは……胸が痛いよ……。
蒼がいつものように隣に座る。
ドキドキする。
蒼は…………覚えてる?
それとも無意識のうちの行動で覚えてない……?
”今だけ……このままで……”
あたしを抱きしめたこと。
蒼はいつものように、あたしに声を掛けることもなく淡々と鞄の中身を机にしまっていく。
「……」
……覚えてないのかな。
それでもいいんだ。
無意識でもあたしを頼ってくれたこと。
それだけでうれしいから。