それはきっと、君に恋をする奇跡。


するとさっきまでの表情とは一変、素になる久保先輩。



「え?恋人同士?」


「……はい」



なにか、おかしいことでも……?



「俺、女って言った?」



……?

女……って?



「あの、それはどういう……」


「ちょっと待って新田さん。何か勘違いしてない?蒼の病気の友達って、男だよ?」


「……え……?」



耳を疑うようなことを言われ、頭の中が混乱する。



大切にしたい人……それが。


男?


菜々さんじゃ……ないの?



「あ、べつにそういう趣味じゃないと思うけどさ、純粋に親友って意味で大切にしたいんだと思うよ」



当たり前のようにそう話す久保先輩に、あたしはまだついて行けない。

< 273 / 392 >

この作品をシェア

pagetop