それはきっと、君に恋をする奇跡。
気力なんてなくて。
席すら立てない。
「陽菜……やっぱり、口約束なんかじゃ……」
「……え?」
……口約束って。
「あ、ごめんっ……」
あたしの顔色が変わったのを見て、咄嗟に謝ってくる真由ちゃん。
「……」
……真由ちゃんだって、ほんとうはそう思ってたんだね。
小学校時代の約束をずっと信じてたあたしを、心のどこかで笑ってたんでしょ。
「ひどいっ……真由ちゃんひどいよっ……!」
込み上げてきた想いは止められなくて。
そう声を荒げると、勢いよく席を立って身を翻す。
「あっ、陽菜待って……!」
呼び止める真由ちゃんの声に振り返りもせずに、そのまま学校を飛び出した。
「いってぇ……。……今日はよく人にぶつかる日だな……」
誰かにぶつかったことなんて、気づきもしないで。