それはきっと、君に恋をする奇跡。



「えっ……」



はらり。


今度こそ、原稿用紙はゆっくり床に舞い落ちた。



これを書いたのは、蒼?



骨折を理由にひとりだけ出していなかった原稿。

3日の猶予をもらって今日先生に提出したとなれば、蒼の原稿がここにあるのも理屈が通る。


でも……右手で書いたんでしょ?


右手で書く文字は、こんな字じゃなかったじゃんっ……。



誰かに代筆を頼んだ?


……この字がハルくんの文字なら……。


ハルくんに代筆を……?



いや、ハルくんは大阪にいて……

そもそも蒼がハルくんに代筆とか……一体どうなったらそうなるのかなんて説明もつかない。


だけど。


実際これが蒼の原稿なのは確かで……。


もう……なにがなんだかわからない。



ただわかるのは、この文字が絶対にハルくんの字だってことだけ……。

< 283 / 392 >

この作品をシェア

pagetop