それはきっと、君に恋をする奇跡。
結局、あたしはそれを家まで持ち帰ってしまった。
どうしても、ちゃんと確認がしたくて。
ハルくんの手紙と、見比べたくて……。
棚に置いてある缶の蓋を開けると、溢れた手紙が雪崩の様に落ちてくる。
無造作に拾ったひとつを広げて……原稿用紙の文字と見比べて。
「……っ!!!」
目を見張って手で口を抑えた。
思い違いなんかじゃない……。
この論文は、間違いなくこの手紙と同じ筆跡。
ハルくんの文字。
どこをとっても、手紙の文字と間違いはなかった。
なんで……どうして……?
思いつく限りを巡らせても、まったくなにも結び付かない。
だって、ハルくんが蒼の原稿を代筆したとしか考えられないけど、そんなことあり得ないから。
ハルくんは大阪にいるんだし。
そもそもハルくんと、蒼の接点なんて……。
ふと、ある記憶の一部がふっと呼び起された。