それはきっと、君に恋をする奇跡。
入学式の日。
ざわついた教室。
フライング自己紹介をした蒼。
『三橋中から来た水瀬蒼でーす』
なんとなく耳に入れていた言葉を、今なぜかはっきりと思いだす。
三橋中……。
三橋?
……三橋……三橋……
この地名をあたしは知ってる気がした……。
記憶の片隅に残っていたのは、この地名を知っていたからかもしれない。
……でも、どこで知った?
記憶を辿ろうとあちこちに目を泳がせていると。
乱雑に散らばった封筒の一部にその答えはあった。
ハルくんが書いた差出人住所の欄。
〇〇県〇〇市"三橋町"ーーーーーー
「……っ!」
三橋、って。
ハルくんが住んでいた町の名前……。