それはきっと、君に恋をする奇跡。
あたしは手紙を送る度に書いていた。
"三橋町"
無意識のうちに、あたしの中でよく知った地名になっていたんだ。
その"三橋"と蒼の出身中学の"三橋中"は、同じ三橋……?
蒼の家は、あたしより桜園高校に近いらしい。
ちょうど県境に住んでいるらしく、あたしと同じ県ではない。
ハルくんも、隣の県。
つまり蒼と一緒。
同じ地名がふたつ、近隣に存在する可能性は低いだろう。
だとしたら……ハルくんだって、"三橋中"に通っていたはず。
「えっ……」
あたしの頭の中はもうパニック状態だった。
居てもたってもいられず腰を浮かしては下ろして……。
……もしかして……ふたりは同じ中学……?
じゃあ、あるの……?
接点……。
"手の中に収められた原稿"と"三橋"
たったふたつだけど、それは大きな共通点で。
どうしてもハルくんと蒼を引き離せない。
「ないよ、絶対っ……あるわけないっ……」
口から出るのは、すべてを否定する言葉だけ。
そんなこと、あるわけないんだから。
いくら考えたって、なにもわかるわけはなく。
あたしはその日、眠れない夜を過ごした。