それはきっと、君に恋をする奇跡。


「話はそれだけ?だったら俺もう行くから」


「待ってよ……!」



ブレザーの裾を引っ張って、蒼を引きとめる。


蒼の動揺が、ハルくんを知っていると教える。

蒼は、なにかとても重要なことを隠してる。


……ねぇ、そうでしょ……?



「蒼っ……!」



お願い。



「……教えて……?」



あたしはほんとのことが知りたいだけなの。



「これは……ハルくんの字……?」



この原稿用紙にハルくんの文字がある理由を。





「……違うよ……」



……っ。

それでも蒼は否定するから。



「ハルくんが……左手の不自由な蒼の代筆をしたんでしょっ……!?」



やっぱり平静なんて保てない。

感情的になって蒼に詰め寄った。

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