それはきっと、君に恋をする奇跡。
「遥輝……ごめんっ……」
続けて苦しそうにそう吐き出した蒼は、顔を地面に落として髪をクシャッと掴んだ。
あたしはその正面で、呼吸を整えるので精いっぱい。
蒼はハルくんを、"遥輝"と呼んだ。
ふたりは、やっぱり……。
「陽菜……」
蒼が顔をあげる。
「……な、に……?」
「俺の話、ちゃんと聞ける……?」
さっきまでと違い、とても優しい声。
「最後まで聞くって、約束してくれる?」
「……」
それに導かれるようにあたしはうなずく。
「わかった」蒼はそう言うと、あたしの両腕をしっかり支えた。
しっかり目を見つめて。
「そうだよ。俺は遥輝を知ってる」