それはきっと、君に恋をする奇跡。
……どこ?
ここより高い場所なんてないのに、顔を上にあげて示されてもわからないよ。
ハッキリしない蒼の態度にもどかしさを感じながら、もう一度蒼の辿る視線の先を確認すると、ある一点を見つめていた。
「……」
あった。
ひとつだけ。
ここより高い建物が。
ガラスが夕日に照らされて、オレンジ色に染まっていたのは。
あたしも何度も目にしていた建物。
それは。
「……病院……?」
絞り出すようにつぶやくと、
「……そうだ」
「……なん……で……病院……に……。……っ、」
言って、はっとした。
『蒼には……病気の友達がいるんだよ』
『蒼にとってすごく大切なヤツらしいんだ』
『蒼の病気の友達って、男だよ?』
すべてが結びついてしまった。
つまり。
それが。
……ハルくん……?