それはきっと、君に恋をする奇跡。
「でも手紙がっ!!!」
それがある限り、蒼の言葉なんて信じない。
「あれはっ!」
蒼の瞳が、あたしを真っ直ぐにとらえる。
「……あれは……陽菜に病気だと知られたくないと願った遥輝の……夢だ……」
……夢?
あたしに、病気だと知られないため……?
……どうして?
「遥輝は、陽菜からの手紙を読むのが唯一の楽しみだった」
「……」
「でも……」
……でも?
「遥輝は……病気のせいで……もう2年前から……字が……書けないっ……」
「……っ……」
じゃあ、あたしに届いていた手紙は……。
あれは、一体なんだったの……?
揺れる蒼の瞳を見つめて問うあたしの瞳だって、今にもこぼれそうな涙で覆われている。
「遥輝が俺の代筆をしたんじゃない……。
遥輝の代筆をしていたのが…………俺、だったんだよ……」