それはきっと、君に恋をする奇跡。


もしかしてハルくんから……っ!?



「テーブルの上に置いといたわよ」



目をやると、リビングのテーブルには淡い空色の封筒があって……



「……っ」



急いでその封筒を手に取る。


宛名に描かれた文字は、もう見覚えのあるもの。


これはハルくんの字。



……やっぱり、ハルくんからの手紙だ……。



この4年間、ハルくんと音信不通だったわけじゃない。


ずっと文通を続けていたんだ。


桜園高校……という名前をハルくんが口にしたのも、約束の日が初めてじゃない。


桜園高校といえば、小学生でも知っているくらいスポーツが盛んで有名だった。



ハルくんは少年野球をやっていて、桜園高校に入って野球をするのが目標だった。


私立の高校では一番近いし、あたしにも馴染みの高校名で。


『あたしも桜園高校に行きたいな』


なんて、ハルくんの前で言っていた。


だからハルくんはあんな約束を口にしたんだと思う。
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