それはきっと、君に恋をする奇跡。
「……!?」
あの字は……。
「陽菜への手紙は……俺が書いてた……っ」
「───っ」
ハルくんの字じゃなくて蒼の字……?
「陽菜ッ……!」
今度こそ足の力が抜け、ガクッと冷たいコンクリートに膝から落ちる。
「……そん、な……」
いつから……?
いつから蒼の字に変わっていたの……?
……まったく気づかなかった……。
「……ごめん……今まで黙ってて……。遥輝が、陽菜には絶対に言うなって……」
「……っ」
「俺も迷ってた、陽菜に言うべきかどうか……っ」
同じようにコンクリートに膝をつく蒼。
「……ねえ……ハルくんは……そんなに重い病気なの……?」
久保先輩から聞いた話を思い出す。
蒼の左耳のピアスが、胸を締め付ける。
「ハルくんは……?ハルくんは治るんだよね……?」
すがるように蒼の両腕をつかむ。
「ねえっ、なんとか言ってよ……!」
あたしの叫び声が、冷えた空気に溶ける。
蒼は苦痛に顔を歪めながら、言った。
「……遥輝は……もうっ……余命宣告されてんだっ……」