それはきっと、君に恋をする奇跡。
「遥輝は私立の中学受験すんの?」
ある日、遥輝の家に遊びに来ていた俺は気になっていたことを聞いた。
塾へも通っているし、成績はクラスでトップだから当然だよな。
せっかく仲良くなったのに、同じ中学に行けないのは少し淋しい。
「行かないよ」
愛犬の"マロ"を膝の上で撫でながら、遥輝はサラッと言った。
白くてふわふわしたかわいいチワワ。
家族の中で遥輝に一番懐いていて、遥輝の家に遊びに来ると決まってコイツも部屋にいる。
「じゃあなんでそんなに勉強頑張ってんだよ」
「桜園高校に行きたいんだ、俺。その為に今からしっかり勉強しとかないとさ」
「桜園高校!?遥輝ってつくづくすげえなあ……」
中学に入る前から目標の高校がある遥輝を改めて尊敬した。
俺なんて、中学に行って何部に入ろうかな~くらいしか考えてねえよ。
「で、なんで桜園?」
スポーツが盛んで有名だから、俺も名前だけは知っていた。