それはきっと、君に恋をする奇跡。
文通といっても、あたしが3回出して1回返事がくればいいというペース。
男の子は手紙なんて苦手だろうし野球も忙しいだろうから、それを考慮すれば、3回に1回でも返事がくるのはすごくうれしかった。
内容はほんとうにくだらないこと。
学校であった面白いこととか、今夢中になってることとか、流行とか。
ハルくんも野球の試合の話や学校でのことを、文章は少なかったけど教えてくれた。
学校から帰ったら郵便受けを覗くのが習慣で、それが毎日の楽しみだった。
中学生になってからはスマホを持っていたし、ハルくんも持っていた。
でもメールじゃなくて、手紙という方法であたしたちは連絡を取り続けた。
文字からハルくんを感じたかったから。
小学生の頃から丁寧だったハルくんの文字。
それは成長と共に、男らしくて力強い文字へ少しづつ変わって行った。
そんな変化も知れて、うれしかったんだ。