それはきっと、君に恋をする奇跡。


文通といっても、あたしが3回出して1回返事がくればいいというペース。


男の子は手紙なんて苦手だろうし野球も忙しいだろうから、それを考慮すれば、3回に1回でも返事がくるのはすごくうれしかった。



内容はほんとうにくだらないこと。


学校であった面白いこととか、今夢中になってることとか、流行とか。


ハルくんも野球の試合の話や学校でのことを、文章は少なかったけど教えてくれた。


学校から帰ったら郵便受けを覗くのが習慣で、それが毎日の楽しみだった。



中学生になってからはスマホを持っていたし、ハルくんも持っていた。


でもメールじゃなくて、手紙という方法であたしたちは連絡を取り続けた。


文字からハルくんを感じたかったから。


小学生の頃から丁寧だったハルくんの文字。


それは成長と共に、男らしくて力強い文字へ少しづつ変わって行った。


そんな変化も知れて、うれしかったんだ。

< 31 / 392 >

この作品をシェア

pagetop