それはきっと、君に恋をする奇跡。
「膝が痛いのにやめろよ。プリンが食いたいなら俺が買ってくる!」
遥輝にそんなことさせられるかよ!
遥輝をベッドに戻そうとすると、
「俺が食いたいんじゃなくて蒼に食わせたいんだよ。膝なら大丈夫。こんなことでもない限り俺も病室の外に出られないんだって。寝てばっかでほんと退屈。せっかくの俺の用を取るなよ」
「……」
そう言いくるめられてしまえばなにも言えない。
笑顔で病室を出て行く遥輝を見送った。
ほんとは……遥輝も感極まったんじゃねえの?
ポロッと頬を伝った涙に、今ここに遥輝がいなくてよかったと思った。
「あっ……」
ブレザーの袖が棚に触れて、そこにあった紙がバラバラと床に落ちた。
「やべっ……」