それはきっと、君に恋をする奇跡。
祈ることしか出来ない俺は、耳にピアスの穴を開けた。
ピアスに願いを込めるっていうのを聞いたことがあったんだ。
ピアスで願掛けなんて……子供だましみたいかもしれないが、何にでも頼りたいくらい俺も切羽詰まっていた。
遥輝のあの手紙を見たら……なにかせずにはいられなかったんだ……。
母さんは最初反対したが、俺の真剣な想いを伝えると了承してくれた。
そして母さんに穴をあけてもらった。
ふたりで、遥輝の病気が完治することを願いながら。
「俺ピアス開けたんだ!」
「不良~」
ピアスのつけた左耳を見せに行くと、遥輝はあまりいい顔をしなかった。
チャラチャラしたイメージがあるんだろうな。
願掛けなんてことは伝えない。
「なんでまたピアスなんて……。まさか悪い奴らとつき合ってんじゃないよな!?」
「んなワケないだろ!俺はいたって真面目ですーーー」