それはきっと、君に恋をする奇跡。

お前のために



2年生ももうすぐ終わろうとしていたころ。

今日も学校帰りに病院へ行くと、遥輝は一生懸命便箋に向かっていた。



……またウソの手紙を書いてるのか。


何度も見てきたそんな姿に胸を痛めながらも、遥輝は陽菜との手紙のやり取りを何よりも楽しみにしている。


それに口を挟めるわけもない。


黙って見守ろうとしたとき、いつもと様子がちがうのに気付いた。



「……遥輝?」



声をかけてハッとする。


額に汗をにじませながら苦痛に顔を歪めていたから。



「どうした?具合が悪いのか!?」



側に駆け寄る。



「……腕が……腕が思うように動かねえんだよ」



バランスの悪い文字がブルーの便箋の上を走っていた。


キレイだった文字の面影はない。



……っ。

……そりゃそうだろうよ。


ガンが蝕んでんだ。

ペンを握るのだってほんとはきついだろ……?



「くっそ!」



遥輝は左手でそれをクシャクシャに丸めると壁に向かって投げつけた。

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