それはきっと、君に恋をする奇跡。
「陽菜に……伝えねえのか……?」
泣き疲れ、俺にもたれる遥輝を支えながら放ったのは、今までずっと我慢してきた言葉だった。
陽菜だって、こんなの望んでないだろう。
本当のことを知れば、今すぐにでも会いたいと思うに決まってる。
「だって俺……治るんだろ……」
「……っ。
……あたりめえだろっ……」
「だったら……こんな弱ってる姿見せたくない……元気になって……陽菜に会いに行きたい……」
治療と向き合う力は、すべて陽菜から生まれている。
先の見えない苦しい闘病生活の中での光は、陽菜なんだ。
……だったら。
「俺が書くよ」
「……蒼?」
「遥輝の言葉は、俺が届ける」
文通が、遥輝と陽菜を繋ぐ唯一の手段なら、文字が書けない遥輝の代わりに、俺が書くと決めたんだ。