それはきっと、君に恋をする奇跡。
そして。
……こんな偶然てあるのかよ。
同じクラスに隣の席。
俺は陽菜を見守り笑顔を与えるために桜園高校に入学した。
それが俺の宿命なんだと、強く想い知らされた気がした。
俺は元々両利きだったため、学校では左で文字を書くことにした。
右手は、陽菜にとって遥輝の"筆跡"だから。
その後の陽菜は、机に突っ伏すことが多く、話しかけてもほとんど無反応だった。
遥輝が心配していた通り、遥輝がここにいないことにショックを受けてるんだ。
陽菜がそれほど遥輝を想っていたことをうれしく思いながらも、この現実がツラい。
どうにか陽菜を悲しみから救ってやる術だけを考えていた。
「陽菜、どう?」
遥輝にそう言われるのはつらかった。
「ほんとのこと話して」
遥輝のために俺は桜園高校に行っている。
嘘をついても仕方ない。
ありのままの陽菜の姿を話すと、「……そっか」と遥輝もツラそうな顔を見せる。
「ここからさ、桜園高校が見えるんだ」
遥輝がポツリと言った。