それはきっと、君に恋をする奇跡。


この病室は6階。

窓からは外の景色が一望でき、その中に桜園高校があったのには初めて気づいた。


もちろん人影なんて見えないが、教室の窓や屋上は見えて……。


遥輝はここからいつも陽菜を感じてんだな。

ふたりはこんなに近くにいるのに……その事実を陽菜に告げられないもどかしさが俺の胸を席捲した。



想いも掛けず、俺に告白してくる女子が沢山いて戸惑った。


彼女なんて作る気もないし断り続けていた。


でも、はっきり理由を言わないと、納得してくれない女の子もいた。


彼女だって好きな女だっていない。


でも、大切にしなきゃいけない女の子はいる。


遥輝の好きな女の子は、俺にとって大切だから。


告白の時に告げていた大切にしたい人……それは陽菜を指していた。



そう言って俺は告白を断り続けていた。
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