それはきっと、君に恋をする奇跡。
そんな折、陽菜からピアスをもらい俺は困惑した。
俺はこんなもの陽菜からもらえる立場じゃないのに。
それに……このピアスはまだつけられない。
そのことで陽菜が落ち込んでる気がして、余計に気を揉む日々……。
でもやっぱり、今のピアスは外せねえ……。
これは、遥輝の病気が治って初めて外せるものだから。
……気付かないふりをした。
……気付かないふりをしたかった。
……気付きたく、なかった。
それは───……。
2学期の始業式、教室の外で陽菜が泣いていた。
陽菜に笑顔が戻ったときは嬉しかった。
でもそれは、ある恐れの始まりだったのかもしれない。
それが……
……遥輝を忘れて、俺に向けられた好意のせいだとしたら……。