それはきっと、君に恋をする奇跡。


そんな折、陽菜からピアスをもらい俺は困惑した。


俺はこんなもの陽菜からもらえる立場じゃないのに。

それに……このピアスはまだつけられない。


そのことで陽菜が落ち込んでる気がして、余計に気を揉む日々……。


でもやっぱり、今のピアスは外せねえ……。


これは、遥輝の病気が治って初めて外せるものだから。




……気付かないふりをした。

……気付かないふりをしたかった。

……気付きたく、なかった。




それは───……。




2学期の始業式、教室の外で陽菜が泣いていた。




陽菜に笑顔が戻ったときは嬉しかった。


でもそれは、ある恐れの始まりだったのかもしれない。


それが……


……遥輝を忘れて、俺に向けられた好意のせいだとしたら……。
< 343 / 392 >

この作品をシェア

pagetop