それはきっと、君に恋をする奇跡。


そして、ついにそれを知るときがくる。



「なんでっ……なんで蒼は優しいのっ……」



理由が言えたらどんなにいいだろう。



「中途半端に優しくなんてしないでっ……!」



フッ……中途半端、か。



「泣くあたしが嫌なら、もう突き放してくれればいいからっ……うっ……」



んなこと出来ねえんだよ。



「蒼が悪いんだよっ……」



ああ、俺を責めてくれたらいい。



「もうっ、ツラい思いはしたくなかったのにっ……ひっくっ……」



……遥輝、ごめん。

俺が陽菜を泣かせてる……。



「……あたしね……蒼のことがっ……」



……っ。


聞いてしまったら終わりだと思った。




「言うな……それ以上……言うな……っ……」



俺はどんなことがあっても陽菜を拒否しなきゃいけない。



「……聞きたくない」



そのせいで、陽菜を傷つけることになっても……。


遥輝のためというより……自分のためだったのかもしれない。


 
『会ったらきっと……好きになる』



俺がその気持ちを抑えるのに、もう精いっぱいだったから……っ……。

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