それはきっと、君に恋をする奇跡。
ゆっくり、ゆっくり。
戻っては進み、戻っては進みを繰り返してやっと読み終わった手紙。
キレイにしたためられたボールペンの字は所々が滲んでいる。
封筒と同じ色の便箋には、気付けば大粒の涙が落ちていた。
……なにこれ。
ひどい、ひどいよ、ハルくん。
こんな勝手ってある?
体の熱がすべて奪われたみたいに全身が冷たくて。
体の震えが止まらない。
あまりに一方的すぎるその内容に、頭は真っ白になった。
ハルくんはこんなに自分勝手な人だった?
あたしの知ってるハルくんは、間違ってもこんなことするような人じゃなかったのに。