それはきっと、君に恋をする奇跡。
『陽菜、遥輝に会いに行こう』
蒼は、あれから毎日あたしにそう言った。
『……時間が……ないんだ……』
わかってる。
あたしだって、ハルくんがすぐそこに居るなら飛んでいきたい……。
でも。
一度はハルくんを恨み、憎み。
蒼を好きになってしまったあたしが。
今更、どんな顔をしてハルくんに会いに行けばいいの……。
それに恐いよ。
真っ黒に日焼けした元気なハルくんしかあたしは知らない。
今ハルくんに会って、あたしはどんな言葉をかけてあげられる……?
1分1秒でも無駄に出来ないのに。
あたしはその大切な時間ですら、決断できずに過ごしていた。
『余命は数週間』
そんな現実から、あたしはずっと目を背けていた。