それはきっと、君に恋をする奇跡。
中には、医師や看護師。
久しぶりに見るハルくんのお父さんとお母さんもいた。
そして中央に居るのが。
酸素マスクをつけながらベッドに横たわっている男の子。
……ハルくん、なの……?
真っ黒に日焼けして健康的だったハルくんの姿しか覚えていないあたしには、衝撃的すぎるその姿。
イヤだ……。
イヤだ……。
現実を目の当たりにしても、まだそれが事実だと認めたくないあたしの本能。
「行ってあげて……?」
菜々さんに軽く背中を押され、あたしは足を床にするようにして少しずつ前へ進む。
ほんとに、ハルくんなの……?
ベッドの脇まで行って床に膝をつくと、完全に瞳が開ききらないハルくんと視線が合った気がした。
「ハル……くん……」
4年ぶりに呼びかけるハルくんの名前。
酸素マスクが白く曇る。
一生懸命何かを言おうとしているのかもしれない。
側にいた先生が、酸素マスクを外してくれた。