それはきっと、君に恋をする奇跡。


ハルくんの顔が、はっきり見えた。



頬なんてすっかり痩せこけてしまっているけど。

間違いなく、あたしが胸を焦がしたハルくんだった。



「……ひ……な……」



細い声があたしを呼ぶ。

大好きだった、あの声で。



「ハルくんっ!!!!」



想いがワッ……と蘇る。



───"陽菜"

あたしにだけ特別だったハルくんとの日々が。



何ごとにもいつも一生懸命で。

誰にでも平等に優しく。

誰からも愛されていたクラスの優等生。


そんなハルくんは、あたしの初恋の人。


自惚れだって言われてもいい。

間違いなく、あたしはハルくんの特別だったよね……?



「……やだよ……っ、なん、でっ……」



痩せ細ってしまった手に、指を絡ませた。



「……ひ、な……嘘、ついてっ……ごめ、ん……」


「ううんっ、ううんっ……」



謝らないで。

謝らなきゃいけないのはあたしの方だよ。

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