それはきっと、君に恋をする奇跡。


「あたしっ……」



伝えるなら今しかない。



「ハルくんがずっと……」



うっ……込み上げてくる想いが邪魔して、言葉にならない。



ハルくんが、きゅっとあたしの手を握る。


それはわずかだけど、確かに感じた。



「……ありが、とう……」



まだ伝えきれていないのに。

まるでその想いが伝わったかのように、優しく微笑むハルくん。



「……っ……うぅっ……」



手を繋いだまま、あたし達はお互いを見つめ続けた。


ハルくんと時間を共有出来てる奇跡を噛みしめながら。


会えなかった時間を生めるように。


きっと今のあたし達には、言葉を交わすよりも深くて濃い時間……。

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