それはきっと、君に恋をする奇跡。
ハルくんは、穏やかにあたしを見つめ続けていたあとゆっくり瞼を閉じて。
再び開いたその目は、右へ左へとうつろに動く。
まるで誰かを捜すかのように。
……もしかして、
「蒼?」
蒼を捜しているのかもしれないと後ろを振り返ると、そこで待機していた蒼がいてもたってもいられない様子で駆け寄ってくる。
「遥輝っ!!!!」
声を掛けると、ハルくんの瞳は安心したように細くなった。
やっぱり蒼を捜してたんだ。
「ごめっ……約束守りきれなかったっ……」
蒼の呼びかけにハルくんは軽く首をふる。
「……あり……がとな……蒼……」
「……遥輝!ダメだからな!まだ逝くなよっ!」
蒼が声を枯らして叫ぶ。
「死んだら絶交だぞ!!」
「……蒼、こそ……」
切迫する蒼とは対照的に、ハルくんの顔はずっと穏やかで。